薬膳では食材には性質があると考えます。
体の中に取り込んだあとに現れる反応や症状によって「熱・温・平・涼・寒」の5種類に分類され、これを「五性」とよびます。
暖める作用が強いものが「熱」、穏やかなものが「温」、冷やす作用が強いものが「寒」、穏やかなものが「涼」、温めも冷やしもしないものが「平」です。
今回は簡単にそれぞれの特徴、合う人と合わない人について説明していきます。
温熱性
働き
体を温めたり、気や血の巡りを良くする働きがあります。
おもな食材
こしょう、唐辛子、くるみ、生姜、ネギ、ニラ、鶏肉、羊肉、牛肉、エビ、マグロ、桃など
合う人、合わない人
体を温める働きが低下している人や、寒気を伴う風邪を引いている人に適しています。
合わないのは、体の潤いが不足していたり、発熱している人。そのような体調の人は控えめにしたり、体を冷やす作用があるものと一緒に取るように工夫が必要です。
寒涼性
働き
体にこもった熱を取り除いて、のぼせやいらいらを鎮めます。また解毒の働きを持っています。
おもな食材
小麦、ハトムギ、緑豆春雨、きゅうり、トマト、ごぼう、大根、れんこん、ナス、スイカ、カニ、アサリ、ノリなど
合う人、合わない人
体に必要な潤いが不足しているひと、のぼせや発熱など体に熱がこもっている人に適しています。
温める力が不足していて冷えを感じている人、体に余分な水分が溜まってむくんでいる人には向いていません。また、寒気や体の痛みがあるカゼのときも控えましょう。
平性
働き
体に不足している気・血・水・精を補ってくれて、消化吸収しやすいものが多いです。
おもな食材
お米、とうもろこし、豆類、イモ類、人参、キャベツ、キノコ、豚肉など
合う人、合わない人
性質の偏りがないので、季節や体調・体質、世代などあまり気にせずに使える食材です。
補う力がある食材なので、体が弱い人や高齢の方、産後や病後の回復にもぴったりです。
五性を意識するだけでも薬膳になる
ざっくりとした分け方で説明すると、夏野菜や果物、海藻は体を冷やします。
また、体を温めると思われがちな根菜ですが、ごぼう、大根、れんこんなど冷やす作用のものもあります。香辛料や香りの強い食材は温める作用のものが多く、果物の中では珍しく桃が温性です。
暑い夏や熱が出たときには寒涼性の食材を、逆に寒さや冷えを感じるときには温熱性の食材を取るのが◎
普段の献立を考えるときにはどちらにも偏りすぎないよう、温めるもの冷やすもの平性のものをバランスよく取るように考えるのがおすすめです。
まとめ
温熱性 | 平性 | 寒涼性 | |
働き | ・体を温める ・気血の巡りを良くする | 気・血・水・精を補う | ・体にこもった熱を取り除く ・のぼせやいらいらを鎮める ・解毒 |
合う人 | ・体を温める働きが低下している人 ・寒気を伴う風邪を引いている人 | ・潤いが不足している人 ・体に熱がこもっている人 | |
合わない人 | ・潤いが不足している人 ・発熱している人 | ・冷えを感じている人 ・むくんでいる人 |
ちなみに食材の性質は調理しても変わりません。
温熱性の食材を冷蔵庫で冷やしたり、寒涼性の食材を温かくして食べても作用が少し穏やかになる程度の変化ですのでご注意ください。
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